クロコダイル革を硬いと思っていませんか?革の質感を左右するものとは!

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こんにちは、(株)イシカワの吉川です。

先日、ある打ち合わせをしている席上で話題になった話しがあります。それは鎧のような「ゴツゴツしたコブ」をまとったワニが優雅に水の中を泳いでいる映像は、テレビなどで誰でも一度はご覧になったことはあると思うのですが、そのイメージが先行して「ワニ革=硬い」モノと思っている方々が結構いらっしゃるという事実。

この話を聞いた時には正直、「ワニ革」のことを知らない方がまだまだ多いのだと驚かされました。

クロコダイル製品には「関心はあるけれど触ったことがない」そんな方に向けても、今回は見た目のイメージではない、本来のクロコダイルの革質とソフトでカジュアルが主流となりつつある、クロコダイル製品の現状も交えてご紹介していきます。文章と画像ではなかなかお伝えできない部分もありますが、精一杯お届けいたします。

バッグ・革小物の本格ブランド【Rio de piedra / リオ デ ピエドラ】

 

エキゾチックは今、フォーマルからカジュアルへ

近年、クロコダイルの日本のなめしの技術はヨーロッパと肩を並べるレベルまで向上し、カジュアル志向の強い現在は「クロコは硬い」ましてや「カチカチに硬い」などと言うイメージを打ち消す程のソフトな質感のクロコ革が作られています。

私たちRio de piedraもクロコダイルやパイソンアイテムをフォーマルな場だけでなく、日常生活でもサラリとご使用いただけるようなソフト感のあるカジュアルなアイテム製造にも力を入れています。

下記画像のボストンバッグはデザイン・サイズともまったく同じ製品です。パイソン革とクロコダイル革と素材は違うのですが、製法ひとつ素材ひとつでここまで趣きの違う製品へと表情が変わってきます。

柔らかなパイソンボストンに比べ、クロコダイルのボストンは重厚感のあるしっかりとした雰囲気が見て取れますが、使い込むごとにパイソンの様な程良いたわみや湾曲が出てきて、クロコダイル革ならではのカジュアルな表情へと変化してきます。

フォーマルな中にも遊び心のある装いやリラックスできる休日の装いにもマッチする。そんなエキゾチックアイテムがこれからの主流となってくるでしょう。そこにあるキーワードが「柔らかな雰囲気」であると私たちは考え、デザインや素材、製法などを吟味し試行錯誤を続けています。

大ボストン

 

極上ソフトトートバッグ製作へのチャレンジ

タンナー(製革業者)より仕上げられたクロコダイル革を生かすも殺すも製造メーカーの意識と技量が行方を握っていると私たちは思っております。良い食材をどう扱うかと思案する料理人に似ているかもしれませんね。

私たちは目の前にあるクロコダイル革をそのまま製品へと使用するのではなく、もう少し何かできないか?、手を加える事、失敗を恐れずチャレンジすることでクオリティーを上げられないかを常に思案しています。

ここで私たちが実際に行った「柔らかさを追求した」クロコダイルソフトトートバッグ製作の取り組みを具体的にご紹介しましょう。いかに柔らかいクロコ革を、私たちが手を加え作り出せるかがカギになります。

クロコ革の裏側から少しつづ油脂分をハケを使って浸透させていきます。どのくらいの量を浸透させるかが重要。(間違えば色落ちの原因を作ります)

ハケ塗り

油脂分を浸透させた後、手作業で革をほぐしていきます。油脂分が均等にいきわたるための作業でもあります。

ほぐし

最後にクロコ革の内部の繊維層を柔らかくするために専用の道具を使いしごきます。納得するソフト感が出るまでパーツ1枚・1枚作業を繰り返し、柔らかいクロコ革を作り上げていきます。

しごき

「用意のないクロコ革なら自分で作る」私たちの望む革作りのためアナログな手作業を何度と施した末に、新感覚のソフトトートバッグを完成させることができました。

Eyecatch-kouho

私たちが納得するモノ、欲しいと思うモノ、エンドユーザー様のお声を組み入れたモノに重点・意識を置き、お客様に提供することが結果として、ご満足いただきご愛顧へと繋がっていくのではないかと私たちは考え、これからも新しい感覚を磨いてまいります。

 

内側に宿る芯材・裏材へのこだわり

皆さんはバッグや財布の外側と内側の間に、芯材・裏材と呼ばれるモノが入っていることをご存知でしたか?実はこの副資材が製品の硬さ・柔らかさ・手に取った時の感覚を決める大きな要因となっているのです。

クロコダイル革アイテムをはじめとする皮革製品は、全体的なフォルムや型崩れ、耐久性や機能性向上のために、内側の目には見えない部分に芯材や裏材を施すのが一般的です。

その種類としては、紙系・化成品系・プラスチック系・革系・織物系などがあり、加えて厚みに関しても数ミリ単位で様々用意され多種多様です。どれをチョイスするかにより商品の出来映えや感触そして重量までも関係してくるのです。

芯材と裏材

ひとつ例を上げるとクロコダイル財布などは、一般的に強度がある特殊紙系の芯材を使用するケースが多いと思います。製品に張りのあるきれいなフォルムと型崩れしない耐久性を持たせる為に使用し、しっかりとした感触の財布に仕上げるのがオーソドックスなやり方です。

しかしながら、どうしても一つだけ追求したい点があり、弊社ではもう一つ別の製法を用いて、クロコダイルマット仕上げの財布を製作しております。

先に上げた強度のある芯材を用いては、マットクロコ特有の手にしっとりと馴染む革質が手に伝わりずらい。芯材によりどうしても風合いが損なわれ半減してしまう。真のクロコダイル革の良さを感じていただきたいという強い思いからです。

製造にかかわる全ての資材・素材をゼロから見直し、0.1ミリの単位まで厚さにこだわることにより、柔らかくしっとりと手に馴染むクロコ財布を作り出すことができました。

製法の違う2つのクロコダイル財布を手に取っていただいた時に、「へぇー!、確かに」「本当だ、感触が違う」「うわぁー、やわらかい」という言葉が発せられた時に、やっぱりこだわって良かったと思う瞬間でもあるのです。

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職人の技量と感性がソフトな製品を作り出す

クロコダイルを始めとするエキゾチックレザー・アイテムの傾向は年々カジュアル度合が増してきていると感じます。バックパック(リュック)やスニーカーなど、今までクロコダイルからはイメージできなかったカジュアルアイテムも数多く登場しています。

クロコダイルバッグなど、アイテムがカジュアルになればなるほど、ひと目でそれと分かる曲線や丸みのある形姿やソフトな感触が求められ、作り手の「表現力」と経験に裏打ちされた「技術力」が必要となります。

カジュアルな製品を作ることは、実はデリケートな作業を伴います。エキゾチックレザー専門の職人としてはカッチリとしたフォーマルな製品の方がストレスなく製作できます。クロコの革質ならではの難しさがあるのです。

弊社の職人はカジュアルなアイテムが多い、牛革製品の製作も長年経験し、製法などのレパートリーも豊富です。そして、革質がそれぞれ異なるエキゾレザー全般を加工できる技術も持ち合わせています。革の性質・製造技法を知り尽くした、まさにユーティリティークラフトマン。大変頼もしい存在なのです。

職人

 

最後に

皆さんいかがでしたか?クロコダイルの革や製品について少しはご理解を深めていただけましたでしょうか。

「画像と商品説明だけではこのクロコ製品の良さは伝わりづらいですね」「触ればすぐにわかるのに‥‥」ご来店のお客様よりいただいたコメントです。やはりクロコを知ってもらうには手に取ってもらうことが近道です!

百貨店や小売店舗では体験できない製造現場の雰囲気と、メーカーでなくては見ることのできないクロコの加工など、弊社ならではの「プチ作業場見学」とでも申しましょうか、お気軽にご来店になりクロコアイテムを体感して頂ければ幸いです。

ご来店の際は何卒、事前のご連絡・ご予約をしていただけますよう勝手ではございますが、お願い申し上げます。

 


 

バッグ・革小物の本格ブランド【Rio de piedra / リオ デ ピエドラ】







 

 

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