★はじめに知っておきたい クロコの知識入門編★①クロコダイル製品とワシントン条約

環境保護イメージ

こんにちは。
(株)イシカワの元キックボクサー ナオキックこと石川直生です。
格闘技の世界から、私の祖父が約60年前に創業したエキゾチックレザー(製品)を専門に取り扱う「株式会社イシカワ」に転身して、早いもので2年以上が経ちました。

様々な種類の「革について」や、「製品の作りについて」をしっかりと理解して、一人前になるには10年かかると言われているこの業界。
社内や業界の先輩方のおかげ様で、ようやく基本を覚えることが出来たかな?という状態ですが、一人歩きが出来るようになるには、もっともっと経験を積んでいかないといけません。

そこでこれから、皆さんにクロコ(エキゾチックレザー)をより身近に感じていただくために、また、私自身が覚えた知識をより固めるために、【クロコの知識・入門編】という形で、皆さんの側に立つ気持ちで「それが知りたかった!」という情報を様々な角度からお伝えいたします。

第一弾は、「ワシントン条約」について。
ワシントン条約という言葉、皆さんも恐らく耳にしたことはあると思いますが、具体的な内容まではご存じない方の方が多いのではないでしょうか。

ワシントン条約とは、いったい何なのか?
実はこの国際的ルールのおかげで経済が成り立っている国もあるくらい、大切なモノなんです。
細かく見ていくと非常に難しい国際規範ですが、[入門編]らしく、分かり易くお届けしたいと思います。

 

 

【ワシントン条約とは?】

世界の国旗

 

まずは、ワシントン条約について、「なるべく簡潔に」説明させていただきます。
というのも私も入社当初にテキストでワシントン条約について調べたところ、見慣れない言葉ばかりでなかなか頭に入ってこなかった、という経験がありました。
それを前提に、ポイントを押さえて要約させていただきます。

《ワシントン条約》
(1)貴重な野生動植物を護るための国際的な取り決め
(2)1973年にワシントンD.C.にて採択されたから【ワシントン条約】と呼ぶ
(3)国際的には英語表記の頭文字を取って【CITES(サイテス)】と呼ばれる
(4)現在は世界180か国以上の国と地域が加盟国となり、日本は1980年に加盟

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【規制の対象】

動植物の生体だけでなく、剥製や毛皮、骨・角・葉・根、また、それらを使用したバッグや加工品も対象になります。

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【規制の内容】

保護が必要と考えられる動植物を、絶滅危機の度合いによって三つに区分けして、取引を規制しています。

《付属書Ⅰ》
絶滅の恐れがある種で学術研究用の許可を受けたもの以外の商取引は禁止されている
→ジャイアントパンダ・ウミガメ・オランウータン等、約1000種

《付属書Ⅱ》
絶滅の恐れのある種ではないが、何らかの規制をかけないと将来絶滅の恐れがある種
→クマ・ライオン・サンゴ・サボテン・ワニ等、約35000種
※現在、日本に輸入されているエキゾチックレザーの多くが付属書Ⅱに分類される

クロコ革

 

《付属書Ⅲ》
世界的には絶滅の恐れはないが、加盟国内での保護のため、他の加盟国の協力を必要とするもの
→各国内でそれぞれ定められた種が指定されている

新緑の森林

 

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【ぜひ知ってほしい!クロコと「サスティナブル・ユース」】

最近、世界的な標語にもなっている「サスティナブル・ユース」という言葉をご存じでしょうか?
「ワシントン条約」はただ単に野生動植物を保護するだけでなく、適正な利用を続けていくことも念頭に置いています。
そこで、長期的な展望に立ち、「無理のない資源の有効利用」が、サスティナブル・ユースの基本的な考えのベースになっています。

例えば、野生のクロコがたくさん生息しているアフリカのパプアニューギニアでは、クロコの取引による経済圏が成立しています。
多くの人がそれによって生計を立てているため、野生動物の利用を全面禁止にしてしまうと、産出国やその地域住民にとって野生動物資源が無価値となってしまいます。また、乱開発や密猟の原因となり、生息環境の破壊へと繋がってしまいます。

そこで、それぞれの利害を調整した社会的合意を形成することが、地球の資源を守ること=サスティナブル・ユースへと繋がっていくことになるのです。

私もこの話を初めて聞いたとき、野生動植物の守り方として非常に腑に落ちたことを覚えています。
「サスティナブル・ユース」という言葉、ワシントン条約と合わせて覚えていただけたら嬉しいです。

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【クロコアイテムとワシントン条約の関係は?】

Rio de piedraのクロコ製品には、必ずJRAタグというモノが付属します。
JRAタグ

 

これは、「ワシントン条約の規定に基づいて輸入された革を使用し、全ての工程が日本で行われた」ことを示す、MADE IN JAPAN製品である証です。

インターネットで調べてみると、例えば、2~3万円という格安のお値段で販売されているクロコ財布を見かけたりもします。
それは決して偽物というわけではなく、日本以外の国で製造された商品である、ということが要因として挙げられます。(※このことについては、また別の記事でご説明させていただきます)

JRAタグのついた製品をお求めいただくことは、ワシントン条約のテーマでもある「持続可能な利用(サスティナブル・ユース)」を推進することにもなります。
皆様にはぜひ、ワシントン条約に沿って製造されたMADE IN JAPANのクロコ製品を手にしていただきたい、というのが我々ブランドの思いでもございます。(売り上げの一部は、環境保護プロジェクトへ寄付されます)
JRAタグ付バッグ

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【最後に】

ここ数年、「エキゾチックアニマル(エキゾチックレザー)を使用した製品の取り扱いをしない」という発表をする有名ブランドも増えてきました。
世界的な流れとして、「エコ」や「サスティナブル・ユース」という言葉が使われるようになったことで、エキゾチックレザー製品を使用することが「良いイメージではない」という風潮になっていることは否めません。
しかし、本項でご説明させていただいた通り、ワシントン条約に則り、野生動物と共存共栄することで経済・生活が成り立っている国も存在します。
入門編にも関わらず、第一回目からあまり馴染みのない「ワシントン条約について」を選んでしまいましたが、それはクロコ(エキゾチックアニマル)と、私たち人類の関係性をお伝えしたかったからでもありました。

[クロコの知識・入門編]、また次回も皆さんに是非知っていただきたい内容でお届け致します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 


※参考文献

・ 「エキゾチックスキンの基礎知識」(「エキゾチックスキンの基礎知識」編集委員会(2019)
・フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)


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