皮革産業界のプロにも教えています! 「革製品の基礎知識」研修会レポート

こんにちは。(株)イシカワの吉川です。

先日、私にとっては毎年の恒例行事のひとつ、東京都皮革技術センターが主催する、「エキゾチックレザーに関する研修会」の講師(私を含め2名)を務めてまいりました。「革製品の基礎知識」と題したカリキュラムのひとつです。

「先生」と呼ばれるのは、いささか気恥ずかしいのですが、少しでもクロコダイル・パイソンなどのエキゾチックレザーの知識を深めてもらえればと、講師依頼をこちらの研修会も含め東京で年3回お受けしています。

受講している皆さんは皮革関連業者の方々が殆どなので、おのずと気も引き締まります。「エキゾのプロ」が「販売・製造・サービスのプロ」にエキゾ知識を伝授する研修会報告レポート。皆様にもお役に立つ情報となれば幸いです。

 

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エキゾの基礎を解説。ワシントン条約~エキゾ革の種類・特徴

 

皮革産業に携わっている方々を対象に行っているこちらの研修会は、国内大手のブランド・百貨店・通販業をはじめ、皮革製品全般のメーカー(製造)・皮革販売・修理・メンテナンス業者など幅広い業種の方が参加されています。

皮革の知識の幅を広げたい方から、エキゾの知識を深め顧客様へのサービスを向上させたい、また、エキゾの特性を知り、製作技術のスキルを上げたいなど熱心な方々が多く、私たちの説明にも真剣な眼差しで耳を傾けてくださっています。

講義はエキゾチックレザーのほとんどに利用制限があるため、まずはその核となるワシントン条約の説明から入ります。そして同条約に基づき正しく輸入された革を使い全ての製造を日本で行う、日本製信頼の「証」である、「JRAタッグ」の存在を特に小売業者の方々に向け推奨いたします。

続いて、メインのエキゾチックレザーの「種類」と「特性」をテキストとスライドを使って解説いたします。ワニ→トカゲ→ヘビ→オーストリッチなどエキゾチックレザーのカテゴリーとなる全9種類について話します。

一般的に、業界用語を使っての解説となるケースが多いので、その意味を皆様が知っているであろう言葉に置きかえ、わかりやすくすることに注意を払います。また、テキストには記載がないエキゾレザーの現状や傾向、そして仕上げ方などのトレンドから注目すべき旬な情報なども皆様のお役に立てばと、併せてお話しもいたします。マイクを握りながらテキストに書き込んでくれている参加者の姿が目に入ると、なんともいえない充実感を感じます。

 

 

「百」聞くより「一」触れてわかることもある

 

エキゾチックレザーの特徴などを言葉だけで把握するには若干無理があります。「感触」「雰囲気」を理解してもらうためには実物を見て、ご自身で触れて体感していただくのが一番です。エキゾ研修会では、実物を手に取ってもらう時間を設けています。

参加者が講義を受けている時とは雰囲気が変わる時間でもあります。眠そうに聞いていた方が積極的になるシーンでもあります。(笑)

驚きの声を上げる方、興味のある素材以外は見向きもせず触ることもしない方がいたり。高級品だからと「素手で触っていいんですか?」と聞いてくる、業界の新人さんもいらっしゃいます。けれど、皆さんのエキゾの良さを吸収しようという真剣さがうかがえます。

言葉でお伝えしてもニュアンスがうまく伝わらない。私の力不足で解説が不十分ということも多々あると思います。私が作った造語ですが、「百聞は一触にしかず」とでも申しましょうか、触れてはじめて「知識」の一端となるのがエキゾレザーなのかもしれません。

触った印象をテキスト(マニュアル)通りではなく、そのままをご自身の感覚や言葉で相手に伝えるのも、実は「説得力」があるということも皆様にはお伝えします。

革に触れることがメインですので解説は控え目ですが、各素材の「絶対的な特徴」だけをピックアップしてお伝えします。トカゲなら「細かく並んだ綺麗なうろこ」、パイソンなら「ダイヤ型の連続的模様」、エイなら「ビーズのような輝きと真中のスターマーク」など、結局のところ細かい説明よりも、その知力が伝わりやすく関心を深めてもらう「引力」となるからです。

種類別に並べられたクロコ革を見るなり、「一番高いワニ革はどれですか?」と聞いてくる参加者もいたり……やはりクロコダイル革は皆さんの関心が集まりますね。

 

 

その場が即席の「質疑応答」へと様変わり

 

エキゾレザーを実際に手に取っていただいた後、皆様には席に戻ってもらい「質疑応答」へと進行し、閉会(終了)の運びとなるのですが……。講義からも解放され、皆さんの気も緩み、次々と革に触れながら質問が飛びだしその場が「質疑応答」へとシフトが様変わりしてしまいます。

その内容とは今の知識では解決できない問題へのアドバイスを求める方が最近増加中です。

例えば…
・艶の無くなったクロコ製品の復元方法を教えてほしい。
・めくれたパイソンのうろこを元に戻す方法はあるのか。
・エキゾの特性を上手くお客様に伝える言い回しやコツはあるか。

など、販売目線とケアなどの内容に集中しているように感じます。

若い方などは、職歴も浅いためエキゾ革の見た目や質感の質問が集中します。

・このゾウ革はどこの部分の革なんですか?
・エイ革のこの白いマークは生きている時から白なんですか?
・クロコの革は仕上げによって硬さが違うんですね、なぜですか?

など、講義内容の再確認といったイメージでしょうか。

特に今回の参加者の皆さんは意欲的で、予定時間をオーバーする程、質問や疑問を頂戴いたしました。本当に有難いことです。無ければ無いで淋しかったりもするんです、実は……。

質疑には、皮革に携わっている皆様とはいえ、出来る限りエンドユーザーの方にお話しする感覚で対応しています。仮に私の説明をそのままユーザー様へ伝えたとしてもきちんとご理解いただけるように。

皆さんがどこまでエキゾチックレザーの知識を高めてもらえたかは判断がつきませんが、「エキゾレザーは皮革の中でも独特な表情をそれぞれが持ち、この世にふたつとない唯一無二の存在です。利用制限があり、希少性の高い最高級皮革素材なのです。」この文句を、「これだけは忘れないで下さい!」と最後にしっかりとお伝えして、研修会の総括としています。

 

最後に

 

講師の話しを聞かずともエキソチックレザー全般の情報は、簡単にインターネットで入手できるようになりました。しかし、悲しいことに信じがたい情報も少なからず目にいたします。誤解を招く耐久性の表現や雨や水に対して強い性質を持つなど、一歩間違えると、その「価値」を失ってしまう危険性すら含まれているのも事実です。

高級な商品だからこそ、関心をあおるような「過大」な情報は慎み、メリット・デメリットなども明確に開示する。エキゾレザーの「本質」を知ってもらうことが大事だと私は感じています。その上で、長くご愛用いただけるための知識やアドバイスをご提供し、微力ながらユーザー様のアシスト役になれるようこれからも情報発信を続けてまいります。

 


 

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