こんにちは。(株)イシカワの吉川です。
最近、Rio de piedraのクロコダイル財布やクロコダイルバッグについてのお問い合わせやご購入時に際して、ユーザー様より頻繁にお受けする質問が、「クロコダイルのお手入れ・ケア方法」です。
実は、日常生活での少しの注意により、避けられるトラブルだったり、日々の簡単な習慣により、クロコ商品のクオリティーをできるだけ長く保つことが可能になることを、ご存知の方は少ないかもしれません。
お手入れと聞くと「手間」「時間がない」「面倒」と思いがちですが、Rio de piedraがおススメする基本的で簡単な「クロコ日常のお手入れ方法」を参考にクロコダイルアイテムを末永くご愛顧いただければ幸いです。
・知っておいて損はない。クロコ革取り扱いの基本的な知識
・簡単にできるクロコダイル革 日常のお手入れ
・「Rio de piedraのおもてなし。メンテナンスキットの使用方法」
・「クロコ革は呼吸する」長持ちの秘訣と保管方法
・最後に
知っておいて損はない。クロコ革取り扱いの基本的な知識
クロコダイル財布やクロコダイルバッグの適切なお手入れや、使用していない時の保管方法は、長く良いコンディションを保つために必要で、その素材であるクロコ革の損傷やトラブルを最小限にするものでなければなりません。そのためには、革や取り扱い方法の基礎的な知識も必要となってきます。
クロコ革に限らず皮革は、本来の素材感を活かし感触や風合いを出すために、繊維製品(洋服)に比べて強い薬品や高温での処理が出来ず、「染料」と「革」との結合が強くありません。これは世界のどの革でも共通です。長い時間紫外線(日光・蛍光灯・白色灯など)や排気ガスにさらされることや雨や汗に濡れた状態では、ツヤ感がなくなったり・変色・色落ちなどが生じる原因となることを、理解することが大切になってきます。
クロコ革をはじめとする革は、微細な繊維が交絡した構造のため、一般的に内部まで染み込んだシミを完全に取り除くことは不可能です。そのため、飲み物・化粧品などの液体が掛かった場合は、すぐに乾いた布(ティッシュペーパーでも可)に染み込ませるように軽く「ポンポン」と取ることが大切です。こうすることで、被害が少なく済むケースもあります。お食事のシーンなどでは、十分な注意が必要です。
皮革専用のクリーナーやお手入れクリームなどでも、色落ちやシミなどのトラブルの原因になることがあるので、できるだけ使用は控えて下さい。クロコダイルやエキゾチックレザーの場合は、様々な仕上げ方法が施されています。そのため使用しているクロコ革の性質に合わない「市販」の手入れ剤によりトラブルが起こるという事例も報告されています。
クロコ革が雨などの湿気を嫌うからといって、クローゼットなどに保管する際の「乾燥剤」の使用は避けて下さい。市販されている乾燥剤(除湿剤)の成分である塩化カルシウムが作用して革繊維を変質させることがあります。保管する際には直射日光の当たらない風通しの良い場所での保管が効果的で、おススメです。湿気はカビ発生の原因にもなります。
簡単にできるクロコダイル革 日常のお手入れ
それでは先に上げたクロコ革の知識・取り扱い方も踏まえ、簡単に行えるクロコダイル日常のお手入れをご説明していきましょう。
○クロコダイル(マット仕上げ)のお手入れ
クロコアイテムを使用する環境やユーザー様の体質(汗かき等)などにより、気付かぬうちにクロコ表面には汗の成分などの不純物や汚れなどが、付着していきます。まずはそれを早く取り除くことが大切です。柔らかく目の細かい布で「ゴシゴシ」とから拭きするのではなく、軽く円を描くように柔らかく拭き上げることをおススメしています。
一日の終わりに「サッ」と毎日拭いていただくのが理想ですが、気付いた時に施すことを習慣にしていただくだけで違いが出てきます。又、クロコ財布などは、上着やズボンのポケット・バッグなどに入れっぱなしにすることなく取り出し、毎晩の自然乾燥だけでも心掛けてください。小さなことですが、汗や湿気などの水分が気化してクロコの長持ちにもつながってきます。
クロコダイル革の内側から時間の経過と共に、脂分(ワックス)が表面に浮き上がって来て、使い込んでいくうちに少しづつツヤ感が定着し、革が馴染んできます。これは、革が自ら表面を良好な状態を保とうとするメカニズムなのです。柔らかく拭き上げる習慣だけで、自然な経年変化を楽しめ、日常のお手入れは、これで十分です。
クロコ表面のツヤ感やしっとり感・見た目がいつもとちょっと違うなと感じた時がお手入れ剤クリームなどを使用したメンテナンスのタイミングと言えるでしょう。日々のお手入れのたびにメンテナンスクリームを使用する必要はありません。また、クロコ革とクリームに含まれる成分の相性・クリームの塗りすぎは色落ちや変色・ツヤ感を損なう原因になるのでご注意下さい。市販の新しいクリームを初めて使用する場合は、必ず目立たない部分で変化がないか、時間をかけてテストしてください。
○クロコダイル(シャイニング仕上げ)のお手入れ
シャイニングクロコの表面はブラシや目の粗い布などでから拭きすると、細かいキズがつき、キズによる乱反射も起こりやすくなり白く曇って見えてしまいます。表面の美しい光沢を損ねたりしないためにも、目が細かくやわらかいコットンなどの布で、軽くなでるように拭き上げることを日常のお手入れとしておススメしています。
シャイニング仕上げに使用する「カゼイン」という薬品は親水性が強いので、雨や液体などがつくと、表面がふくれて、水ぶくれやシミができ易い性質があります。とは言え、ある程度の耐水性は日本のエキゾ専門の各メーカー・ブランドは製品に施していると考えられますので、濡れた時には時間をおかず、やわらかい布で軽く「ポンポン」と吸い取るように取って下さい。表面の退化や変質を防ぐことができ、大きなトラブルを回避できる可能性が上がります。
特にクロコダイルのシャイニング仕上げは、マット仕上げに比べて、革本来の風合いを最優先するため表面はデリケートになっています。したがって、表面の退化・変質を防ぐ意味でも、メンテナンスのクリームやスプレーなどを使用することはおススメしておりません。
防水対策と軽く拭き上げることを日常のお手入れ方法と理解していただき、ツヤの劣化などの変化には、何もせずにお買い上げ店舗・専門店にご相談いただくことが賢明です。高価な商品ですので、自ら修正・回復が不可能な状態にしてしまうのは非常に残念で勿体ない事ですので十分にご注意ください。
「メンテナンスキットの使用方法」
クロコメンテナンスキット(レザートリートメント)、栄養クリームなどの塗布事例のひとつとして、そして皆様の参考になることを願って、使用方法の工程をご説明いたしましょう。
こちらのレザートリートメントはビーズワックス(蜜ろう)、ホホバオイルといった天然素材が主成分のドイツ製保革剤「Renapur」です。世界にはさまざまなメンテナンス剤があり、それぞれ特徴がありますが、こちらのRenapurはメンテナンスに不慣れなユーザー様には使い易く、トラブルも少なく安心です。そして、国内で製革されるクロコダイル革に使用してもシミになりずらく、程良いツヤ感と油分の補給が得られるのです。
まずは、クロコダイル(マット仕上げ)商品に付着しているホコリや不純物(目では確認出来ないものも含め)を附属の目の細かいマイクロファイバー布で軽く拭き取ります。強い力で「ゴシゴシ」と拭く行為はキズの原因とクロコダイル表面にある油分を取り去ってしまうことに繋がりますのでご注意ください。
表面をから拭きした後、附属のスポンジにレザートリートメントを少量取ります。スポンジにうっすらと馴染む程度で結構です。続いて商品全体にまんべんなく、薄く延ばすように塗布していきます。塗りの残しと「ベタベタ」する程度の多量の塗布には注意が必要です。多量に塗っても効果が上がるわけではなく、色ムラ・色落ちの原因になります。
まんべんなく塗布した後は、最低でも一晩、1~2日間の期間をかけてレザートリートメントをクロコ革の内部に浸透させるため放置します(Renapur使用の場合)。その際には直射日光や明るい照明が長時間当たらない場所をお選びください。
浸透期間を経た後は、マイクロファイバー布を使って、全体を円を描くように軽くなでてあげてください。拭き取るということではなく、「なでる」「すり込む」というイメージで行なっていただければ十分です。汚れ落とし・保護・程良いつや出し・カビを生えにくくする効果が得られます。1~3か月に一度ぐらい定期的に行うことをおススメします。
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「クロコ革は呼吸する」長持ちの秘訣と保管方法
皮革製品を長持ちさせるには、いくらお気に入りのクロコダイル財布・クロコダイルバッグなどでも、毎日使うのではなく、シーンによって使い分けをしたり、使った後はから拭きにより汚れを出来るだけ早く取り除き、バッグは白い紙などを利用した詰め物(あんこ)をして形を整え、少し製品に休息を与えてあげてください。
その間に革が吸収した余分な水分を放出したり、詰め物によって型くずれが修正されて、クロコはリフレッシュされていきます。クロコ商品に限らず、高級車や高級腕時計なども長く良いコンディションを保つ為に保管場所をに気にしたり、定期的にケアやオーバーホールを行うのは有名な話です。クロコ商品もそれに似たことが言えるのです。
なるべく避けていただきたい事ですが、クロコ財布を一日中ズボンのポケットに入れてご利用の方、また、クロコスマホケースのように頻繁に手に取る機会が多いクロコ商品などは、特に実践していただくと革の擦れや、汗の成分による劣化の予防となり、長持ちに繋がります。
保管に際しては、クロコ表面を軽くから拭きし、汚れを取った後、型くずれを防ぐために「あんこ」を詰めて、年に数回は定期的に陰干しをする習慣をつけると良いでしょう。そうすることで、革が吸収した水分や排気ガスなどを除き、カビや変色を防ぐことができます。
鞣(なめ)された皮革は、「呼吸」すると言われています。クロコ革は良い状態を保とうと、自ら水分などの吸収と放出を繰り返します。クロコ革が呼吸しやすい状態にしてあげることが、長持ちの秘訣ともいえるのです。陰干しにより乾燥させたら日光や蛍光灯による色あせを防ぐため、布袋などに入れて直射日光の当たらない風通しの良い場所にて保管してください。くれぐれも、ビニール袋のような密閉した状態の保存は避けましょう。
最後に
「革の宝石」とも称されるクロコダイルのお手入れ方法に今回はフォーカスしてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。お手入れをすると、しないとでは、大きな違いが出てくることは、この道30年のキャリアの中でいくつもその実例を見てまいりました。何を隠そう、偉そうにウンチクを語っている私は、実は不精者で、お手入れの大切さを身に染みてわかっている1人でもあるのです(笑)
実は、今回お伝えした「お手入れや保管方法のポイント」やエキゾチックレザー全般をまとめた、保存版「小冊子」をRio de piedraエキゾレザー商品をご購入の皆様にもれなく差し上げています。クロコダイル革は、その性質を理解し、扱ってあげれば長持ちにも繋がり、ユーザー様独自の味のある製品へすくすくと育っていくものなのです。
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