あの、世界のメゾンブランドも賞賛した伝統技術。クロコを引き立てる「ボンベ加工」とは?

こんにちは、(株)イシカワの吉川です。

皆さんはクロコダイルをはじめとするワニ革に施す「ボンベ加工」という特殊技術をご存知でしょうか?

Rio de piedraの母体であるイシカワは東京で唯一、オフィシャルでボンベ加工を承る希少な事業者として国内クロコ有名ブランドにも信頼を得ています。

あのヨーロッパメゾンブランドが弊社の行う「ボンベ加工」を見学に訪れました。高い評価をいただきそれ以来、親交も深めています。

今回は世界が認めたクロコダイル熟練技術の一端をご紹介いたします。

バッグ・革小物の本格ブランド【Rio de piedra / リオ デ ピエドラ】

 

クロコダイルの高級感を引き立てる「ボンベ加工」とは

それでは詳しく、クロコダイル「ボンベ加工」をご説明いたしましょう。ツヤ感を重視したクロコシャイニング仕上げ、業界内ではグレージング仕上げとも呼ばれ、このシャイニングクロコのみにボンベ加工は施されます。

フランス語の「bombee」が語源とされ、「凸型の丸く張り出した」という意味合いがあります。クロコダイル革のウロコ(斑)を隆起させ、凹凸のある立体感と透明感のある輝き(ツヤ感)を作り出します。ボンベ加工を施したクロコ革の表面は鏡面仕上げのように反射して、ひとつひとつのワニ革のウロコが美しく輝く効果を生み出すのです。

タンナー(製革工場)から仕上がってきたシャイニングクロコダイル革は、最初から凹凸があり、立体感があるわけではありません。どちらかと言えば平面、平らな状態で仕上がってきます。よって、世に出まわっているふっくらとした立体感のあるクロコバッグ・クロコ財布などは、「ボンベ加工」を施し、手間と費用を惜しまず、付加価値を加えていると言ってよいでしょう。

しかし、ホンベの立体感(凹凸)は各ブランドにより、「ボコボコ」と一目でわかるものと、うっすらと上品に立体感が出ているものと、まちまちなのが現状です。一目でボンベ加工を施しているかがご自身で判断できない場合は、お買い求めの際に、「ボンベ加工の有無」をご確認いただく事も、ブランドが持つモノ作りへのこだわりがうかがえるポイントにもなります。

 ボンベ 加工 前

 ボンベ 加工 後

 

 

技術の結晶。ボンベ加工の作業工程

本来ならば30年以上の実績で培ったイシカワ「加工部門」の門外不出とも言うべき伝統技術の蓄積を公開するのは控えたいのですが、基本的な工程をお伝えし、弊社伝統のクロコダイル特殊技術の一端を少しでもご理解いただければと思います。

それでは、順を追って解説していきましょう。

1)革漉き
革漉(す)きとは、革の厚みを機械を使い薄くし、厚みを均一にする作業のことをいいます。0.1mm単位で削り取り、ボンベ加工を施すのに最適な柔らかさをさぐりながら厚みの調整を行います。最適な革の状態は全て、手の感触で判断します。

大漉き

2)グレージング
クレージングとは、メノウの石を使いクロコ革表面をキレイに磨き上げる作業をいいます。革漉き時に生じた表面の小ジワなど、クオリティーを損なう要素を全て取りのぞくために全体的に再度グレージングを施し、光沢をさらに深めていきます。

3)プレス加工
業界では「ハイドリック加工」「アイロン」とも呼ばれ、高熱と高圧力によりクロコ革の艶をさらに引き立たせ、革の表面を固くひきしめる工程をいいます。立体感を出す直前の作業で、その時の気温・湿度・革の状態に合わせて圧力を調整していきます。勘どころが物を言う作業です。

4)ボンベ出し
ボンベ加工の「キモ」となる立体感を出す最後の作業です。ボンベ加工に適した専用のSTOVE(ストーブ)を使用し、クロコ革の裏側から熱を加え立体的な凹凸とツヤ感を出していきます。1枚1枚違う質感を直に手で感じ取り、微妙なあぶり加減を調整します。メゾンブランドに「Good Job !!」と評価を頂いた最もアナログで感性が要求される工程です。こちらの工程を経てボンベ加工は完了いたします。

 

 

世界が認めるには訳がある。卓越した繊細な技術とは

Rio de piedraのクロコバッグやクロコ財布もさることながら、国内のクロコメンズ・レディース有名ブランド様からもクロコボンベ加工の依頼を頂戴しています。商品のクロコパーツ1枚でも数万円~数十万円の値打ちがあるものもボンベ加工を施します。お預かりしたクロコを台無しにすることはできません。

実は先に上げたボンベ工程には、判断を間違えると商品化不可能な状態を作り出すリスキーな部分が存在します。

例えば、「革漉き」においてはクロコの谷間を深く削り取ってしまうと、ウロコの行列に切れ目を作ってしまい、商品になりません。「0.1mmへのこだわり」にはボンベを美しく表現することと、クロコ革を台無しにしないという理由があるのです。

「グレージング」では、ボンベ加工をするために薄くなったクロコ革に、メノウの石で高圧力で摩擦を掛けるので、圧力を間違えると革は「ビリッ」と引き裂けてしまいます。圧力は機械がオートマチックに加減するのではなく、革を触り感覚的に手動で行います。マニュアルは存在しない、経験値なのです。

メインの「ボンベ出し」作業は、熱を加えますので、クロコ革を「焦がす」というリスクを伴います。熱量や革に含まれる水分(湿気)なども考慮しなければ、鮮やかな色はくすんでしまったり、クロコ表面に割れが生じたり、カチカチに焦げてしまうこともあるのです。

クロコダイルでなくては表現できないウロコの美しさと、高級感を更に上のステージへと押し上げるためのボンベ加工。クロコに対し多少の知識や技術があるといって、見よう見まねでできるものではなく、一朝一夕で習得できる技術でもありません。そのため希少な技術者として、TVに取り上げられたこともありました。

 

 

発色・輝き・高級感を望むなら、クロコシャイニングがおススメ

ボンベ加工を施したクロコダイルシャイニング仕上げは、フォーマルなイメージの強いアイテムです。やはり、その存在感は人の目を魅了します。長年に渡りクロコアイテムを愛用するユーザー様の中には「輝いていなければクロコじゃない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

ファッションのカジュアルと共に、クロコマット仕上げが主流をしめている昨今ではありますが、透明感のある発色と美しい輝き、そして高級感にフォーカスすれば、他に類のない、高級素材・風格といえるのではないでしょうか。

とは言え、あざやかな色の面積の小さいクロコシャイニングバッグやクロコ財布ならば、カジュアルな装いにも違和感なくマッチします。コーディネートにリッチな華やぎ、メリハリの艶っぽさがプラスされることでしょう。

 

 

最後に

Rio de piedraの母体であるイシカワに入社以来、伝統のボンベ加工の技術を受け継ぎ、自分なりの試行錯誤も加えつつ、あっという間に30年という月日が経過しました。

 

メゾンブランドのディレクターからいただいた言葉です。

The parage made by ishikawa Company, was globally well done and successfull:the skins have a good brightness and uniformity of the color and there is no break.

Skins have also a good transparency and the good level of bombe.

 「 イシカワのボンベ加工は世界的に見てよく仕上がっていて成功していると思います。
 艶切れも良く、色も均一で表面割れも起こっていない事を評価いたします。 
透明感があり、ボンベ出しの隆起も丁度よいと思います。」

 

元々は、ヨーロッパの技術ではありますが、私が認められたというよりは、「日本の技術」が認められたようで、大変嬉しく思いました。
日本の数少ないボンベ加工技術者として、これからも尽力して参ります。

 


 

バッグ・革小物の本格ブランド【Rio de piedra / リオ デ ピエドラ】







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