元伊勢丹メンズバイヤーが語るエキゾチックレザーコーディネートの極意

こんにちは。(株)イシカワの吉川です。
今回は世界屈指のファッションストアでの実務経験を活かし、パーソナルコーディネーターをされている伊藤邦彦さんとの対談編です。

伊藤さんは前職でフランス(パリ)駐在も経験され、「グローバルな感性」を持つファッショニスタとしても定評があります。私たちもその豊かな知識と経験からさまざまなアドバイスを頂戴しています。

クロコダイル・パイソンに代表されるエキゾチックレザーをどうファッションに取り入れ活かしていくか?オシャレ上手になるためのポイントなど、伊藤流「コーディネート術」を伝授していただきました。

バッグ・革小物の本格ブランド【Rio de piedra / リオ デ ピエドラ】

 

伊藤邦彦氏について

「人とモノの価値創造プロデューサー」の肩書を持ち、フルネスリサーチラボ株式会社代表取締役の伊藤邦彦さんが今回の対談のお相手です。

1990年に店頭売り上げ高世界一の(株)伊勢丹に入社。1997年新宿店の婦人服バイヤー・2007年イセタンメンズバイヤーを務められ、2002年にはファッションの本場フランスは伊勢丹パリ駐在も経験されています。

Salon du chocalat・GOYARDをはじ始め数々のヨーロッパブランドやファクトリーとの橋渡しと日本導入に貢献された「世界の目利き」です。また、最新のトレンドから伝統文化まで幅広い感受性を持つ人物でもあるのです。

伊藤氏

 

世界の目利きが語るエキゾチックレザーの魅力とは

吉川:
本日はこちらの突然のお願いにもかかわらず、心よく対談企画を引き受けていただき有難うございます。今日の「赤」レザー素敵ですね。発色もさることながら、体にフィットしたデザインも二重丸ですね。

伊藤:
有難うございます。本当はスーツで来ようと思ったのですが、やはりRio de piedraはカジュアルエキゾアイテムがメインですから、やはり「レザー」のカジュアルアウターかなと思いました。

対談

吉川:
さすがです。お気遣いに感謝いたします。早速ですが、伊藤さんは日本のみならずヨーロッパでの駐在も務められ、さまざまな知識と経験値があると思いますが、伊藤さんが考えるエキゾレザーの良さ・魅力とは何でしょうか?

伊藤:
エキゾ以外の牛革や他の素材でも、十分存在感はあると思いますし、その中で「色」のバリエーションも楽しめます。そして、その先ではグレード感や表情に幅を出したくなる。そのステージに最も適しているのがエキゾレザーではないでしょうか。クロコダイルやパイソンは持っている素材の質感と表情がまったく違う。

伊藤:
また、単品での「主張」度合も全然違う。大人のファッションアイテムとしては、価格価値的な部分も含めて、できる大人の「自信」を裏付ける側面もある。そこがエキゾの魅力ではないかと思っています。。

吉川:
なるほど。「自信を裏付ける」とはステイタスということでしょうか?

伊藤:
似たような意味ですね。いくらファッションに自信やこだわりがあると言っても、ビニールや合成・人工皮革のモノをしていたら、「その自信ってなんなのか?」と言われてしまう。それが仮にエキゾなら尚さら自信を持っていいですよね。自信の根拠が、最高級皮革のクロコダイル・パイソンなのですから。

吉川:
本当に伊藤さんらしいご意見です。ずばっと言い切りますね。

伊藤:
内面の自信と外見の自信。整合性がしっかりと付くのがエキゾ素材の良さとも言えるわけです。

吉川:
話しのついでといってはなんですが、以前お伺いしたエキゾレザーに対する「勘違い」についてお話しいただけますか?

伊藤:
はい。消費者の皆様に勘違いしてもらいたくないのは、エキゾをはじめとする希少性のある素材だから高価なのは事実です。けれども、希少性があるモノは案外、扱いが難しい。「高価=頑丈で長く使える」という考えはそうでないという事は覚えておいていただきたいですね。

伊藤:
年代物のアンティーク・ヴィンテージの時計・車などを所有する人がそうであるようにメンテナンスを定期的に行ったり、保管場所や使用する頻度を考慮したり。ましてや粗雑に扱うようなことは決してオーナーさんはしません。「希少なモノへの理解」が美しい外観や機能性を持続させる訳です。

伊藤:
知識的な成熟度やふだんの心がけの高さによって、長年扱えるものであり、上手に使える人こそがもっとも似合い、ふさわしいということです。

吉川:
どちらかと言うと社会的にある程度の高いレベル、また、役割を担っている方々がエキゾを好む傾向は確かにあるかもしれませんね。

 

セオリーだけじゃないファッション上手への心得とは

吉川:
次に、国内外のファッション関係の場や人に触れてきた伊藤さんに、個性の強いエキゾアイテムの取り入れ方も含め、ファッションに関心のある皆様に心がけてもらいたいことはありますか?

伊藤:
ヨーロッパに居た頃、展示会やファッションに敏感なオシャレなバイヤーと接してた時に、ひとつ思ったことがあります。洋服などのコーディネートにはもちろん、基本中の基本があって当然だと思うのですが、それって教科書みたいなもの。ファッション好きの人だったら、そこの次に何をしましょうかというのを是非、トライしてほしいですね。

吉川:
もう少し具体的にお話しいただけますか。教科書通りではない、チャレンジということだとは思うんですが・・・。

伊藤:
例えばスーツの好きなドイツ人は、スーツに自国のスポーツブランド「アディダス」のスニーカーを履いたり、イタリアでは「Tシャツ+デニム」のカジュアルな時にドレスシューズだったり、クロコのシューズを履いたりもします。お国がらや個性の違いが出ますよね。そんなファッション上手の人達を見ていると、何でもありなのかなあと思ったんです。

スニーカー

吉川:
何でもありと言ってもセンスが光っていないと勿論ダメですよね。

伊藤:
勿論です。一応ファッション好きでキャリアのある大人の男性を前提にお話ししています。教科書通りにやっていると個性がむしろなくなってしまう。好きに楽しめばいいのかなあと思いました。

吉川:
お話は理解できるのですが、日本人ってそこがなかなか難しいのかなあと私は思います。他国の人と比べると日本人のファッションは、伊藤さんにはどのように写っているんですか?

伊藤:
基本的にファッションに対しては成熟度は薄いと思います。何かの真似をしたい、誰々や多数がそうだからとか、ファッション誌が言っているのを見て安心感を覚えながら取り入れている人がとても多いと感じます。しかし、ご自身が自信を持って「これで良いんだ」と思えば私はそれでOKではないかと思っています。

ベルト

伊藤:
ファッションに必要なのは「自信」なんです。自信と確信を持って人前にそれで出ていくというのがファッションを楽しむ最大のコツだと私は思っています。

吉川:
自分の基礎となる部分の自信をしっかり持つことができれば、そこに何を乗せても大丈夫。自信を持てればファッションはもとより、クロコやパイソンのエキゾアイテムも楽しめるということでしょうか。

伊藤:
その通りです。自信がなく、揺らいでいてはそこに何を入れても乗せても全然活きません。少なからず伊勢丹で沢山の人とモノに触れてそれを学ぶことができました。

 

シーンを踏まえたエキゾコーディネートのポイントとは

吉川:
次に一番お聞きしたかった伊藤さんが考えるクロコやパイソンのコーディネート。組み合わせなどのコツをお話しいただけますか。

伊藤:
今はファッションの多様性が豊かになって、オン・オフに関わらずファッションを楽しめる時代になりました。クロコ・パイソンもさまざまなシーンで気軽に楽しんでもらいたいですね。クロコは高い服に合わせなきゃとか、安い服には似合わないなどは関係ないと私は思っています。着こなし上手は、安いもの(ファストファッションなど)も上手に取り入れてますよね。安価な装いに高価なクロコアイテム。この「幅」を楽しんで欲しいのです。こんな組み合わせも有りなんだと。

吉川:
私たちも「エキゾチックレザーを日常に」というコンセプトに製品を作り、提案させてもらっているので、とても共感する部分があります。

伊藤:
装いの仕方は、エキゾアイテムを持つ方々の自由です。男らしい「強さ」や「威厳」を見せるためでも良いし、控え目に品良くキレイに持つのもありです。ただ、Rio de piedraの製品からお客様をイメージすると、全てとは言いませんが、上品な感じがフィットしていると思うし、それがブランドのカラーであり、提供するエキゾチックレザーの素材感を活かすと思っています。その辺を分かった上で持ってくれると個人的にはうれしいなあと思います。

吉川:
まさに、伊藤さんのおっしゃったブランドイメージで精進しています。くみ取ってもらえてうれしいです。引き続いてシーンごとのエキゾ使いのお話しをお願いします。

伊藤:
まずは、フォーマルやオンのシーンから。オンは特にビジネスでしょうか。このゾーンは、皆の立場・役割り、ドレスコードなどのTPOが決まっています。基本的には、装いと同じトーン・同系色でまとめるのがいいですね。やりすぎには注意したいですね。人の気持ちや場の雰囲気を損ねる着こなしは、自分が良くても独りよがりになってしまいます。

伊藤:
派手やかなフォーマルシーンでは、色で遊ぶのもありですね。目立たないところにこだわりを入れるのもオススメ、センスが光ります。クロコの時計ベルトやクロコ名刺入れ・財布などで社会的なルールを守りつつ、ぎりぎりなところで遊ぶのがいいですね。

時計と財布

吉川:
エキゾ小物を活かすシーンでもあります。ビジネスではコミュニケ―ションのきっかけになるかもしれませんしね。

スタイリング2

伊藤:
続いてカジュアルやオフのシーンですが、コントラスや色の変化を楽しんでもらいたいです。クロコ・パイソンのアイテムで、あえて浮き立つような色の違い、白とか赤などを楽しんでもらうとおもしろいです。それが成熟した「大人の遊び」と言えると思います。オンより社会性の弱いオフシーンは自分の個性や独自性を出しやすい。自由度が増しているので遊んだ方がより人間らしさが出ると思います。

吉川:
私たちは特にこのゾーンにエキゾアイテムをオススメし、応援しています。どれだけ自分の中にある「枠」を取っ払うことがデキるかがカギなんでしょうね。

伊藤:
昭和の時代の枠組みから、今の多様性の時代になって最も拡大したのがカジュアル・オフゾーンです。どれだけ自由に広げられるかが、より成熟したできる大人の「技術」といえるのではないでしょうか。言いかえれば、成熟度合を試されている部分でもあります。個性の強いエキゾは使い続けていくうちに自分のカラーがつくられていくものです。パイソンなどで遊ぶのが私のオススメですね。

 

エキゾビギナー上達への近道とは

吉川:
最後にお聞きします。エキゾチックレザーを手にしたが良いがなかなか上手な使い方がわからない。クロコやパイソンに関心はあるがどんな格好に合わせるのかがわからず、手に入れることを迷っている。そんな方々に向けて何かアドバイスはありますか?

伊藤:
私も実際にそうだったのですが、本当はマインド(気持ちや意識)がかわってから駐在したパリに行くのが良かったのですが、現実はそうではなく、パリという環境に行って初めてマインドが変わった。エキゾで考えてしまう方々には、例えばクロコダイルのアイテムをフックというか、引き金にしてマインドを上げていく。手にした瞬間に気持ちとモノをシンクロさせて欲しいです。

吉川:
伊藤さんが先程から力説している「自信」というところにつながっていくんですかね?

伊藤:
そうなんです。私がいつもコーディネートする上で申し上げているのは「モノにぶらさがる」マインドはダメなんです。きっかけや引き金にして乗っかっていって、高いレベルに自分はあるんだと「自信」をつけていくのが大切なんです。

スタイリング3

吉川:
伊藤さんのトレードマークとなっているメガネも本当に個性的で、色々な種類をかけていらっしゃいますよね。それも伊藤さんの自信の表れなんでしょう。「メガネ=伊藤」が確立されてますよね。

伊藤:
恐縮です。エキゾをはじめとするモノ選びは、教科書通りでもなく、人がススメるものでもなく自分が自信を持ちやすいものは何かを考えて取り入れるのがいいですね。人が似合うと言おうが言うまいが、どんどん取り入れて染み込ませていく。それが、体の一部になることがコーディネート上手になる一番の近道です。

吉川:
どんどん使っていくといっても、粗雑にではなく、自分のマインド・モノ・コーディネートを育て上げるというイメージでしょうか?

伊藤氏との対談

伊藤:
おっしゃる通り。私のメガネもそうですが、借りてきた猫みたいになっていると、いつまでもコーディネートのレベルが上がらないんです。初めからモノが完璧に似合い、マッチしている人ってあまりいないと思うんです。自分の体の一部になると自分の「情報」が入ってくるんですね。そうすると不思議なもので「クロコやパイソンが似合うのはあなたです。」と周りがなってくるものなんです。

伊藤:
そして、最後にひとつだけ。人間が情報として一番受け取りやすいのが、実は「色」なんです。色に対する感受性がきわめて高い。モノを選ぶ時には、色でインパクトを出す、色でちゃんと整えていくことも、とても大事です。

3スタイル

 

最後に

伊藤流「コーディネート術」はいかがでしたでしょうか?よくあるファッション誌の「おススメコーディネート」とは一味違うお話しが聞けたと感謝しております。皆様の装いの参考になれば幸いです。

センスや才能としてコーディネート上手な人は別として、普通の人が着こなし上手になろうと思ったらとにかく長く、何かを使っていくと体の一部になる。そしてそのモノを持つことが自信となり凄く似合って見えてくる。そうしたマインドもなくて、つまみ食いみたいにしていると、どれも自分のモノにはならないということ。以上のような「コーディネートのススメ」であったと私は感じています。

お高くとまっているのとは違う、上質で高級感のある素材のオーナーなんだという自信を持っていただいて、日常のオン・オフシーンにエキゾアイテムを幅広くとりいれていただければ大変うれしく思います。

 


 

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