思いのほか丈夫でやわらかいんです! パイソンレザーの特徴と魅力について

※2018年3月23日に公開した記事ですが、追加訂正を行い2020年7月16日に再公開いたしました。※

こんにちは、(株)イシカワの吉川です。

クロコダイルと並んでエキゾチックレザー(爬虫類皮革)の代表的な素材であり、人気を博しているのがパイソン革です。

他に類のない個性的な斑紋(はんもん)やウロコ模様を持つヘビ革は、今やバッグや財布だけでなく、皮革ファッションには無くてはならない素材のひとつです。

また、日本人にとってヘビ革は、どこか神秘的なイメージを連想させます。

今回は、エキゾチックレザーの中でも、ソフトな感触を持ち、さまざまな表現が可能となる多面性を持ちわせた、パイソン革の特徴と魅力をご紹介していきましょう。

 

 

多彩な顔を持つパイソン革の種類と特色について

エキゾレザーの代表格であるクロコダイル・リザード(トカゲ)などに比べて、ヘビ革の種は数多くあります。

ヘビ革は大きく分けて、小さな類(全長1m前後)のスネークと今回ご紹介する大きな類(全長2m~4m前後)のパイソンからなります。

  • スネーク
      • 水蛇
      • コブラ

  • パイソン
    • ダイヤモンドパイソン
    • モラレスパイソン
    • レッドパイソン

革としてはパイソン革の流通が多く人気があります。

バッグ・財布・ベルト・靴などさまざまなアイテムに適しています。

それでは、パイソン革人気の3種類を画像と交えてご説明していきましょう。

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ダイヤモンドパイソン:アミメニシキヘビ

日本国内で、最も流通量が多いのがこちらのダイヤモンドパイソンです。全身にダイヤ型の連続的な斑紋(はんもん)・模様があるところから、ダイヤモンドパイソンと呼ばれています。

ヘビ類の中でも皮質の丈夫さや、大きさの点で利用度も高く、他のエキゾチックレザーには見られない美しさとワイルドさを兼ね備えています。

一見すると、同じように見えるダイヤ型の模様もじっくり見比べると、形状や大きさも一枚一枚が異なっています。
同じ柄模様を牛革などにプリントして作られるパイソン型押し革にはない、まさに「唯一無二」の個性的な存在感を持ち合わせています。

ダイヤモンドパイソンの特徴でもあるダイヤ模様を活かす場合と模様を薬品処理により除去してウロコのみを活かす場合があります。

パイソンマット(模様有り)    トートバッグ ブルー

パイソンラッセル(模様有り)    トートバッグ ガーベラ

 

これはパイソンの種類やその時々のファッション・トレンド・ブランドのコンセプトなどにより異なります。どちらが良い悪いと優劣をつけるものではありません。

また、腹部を割いて背部を活かしたものを「フロントカット」(腹割り)。逆に背中を割いて腹部を利用するものを「バックカット」(背割り)といいます。

パイソン革の割き方には前記の2タイプがあり、見た目の印象も変わってきます。

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モラレスパイソン:ビルマニシキヘビ

モラレスパイソンは全身に、連続的な模様が連なるダイヤモンドパイソンとは異なり、不規則な石垣上の図形模様があります。その個性的な斑紋模様が、日本・ヨーロッパのファッション界で人気を得ています。

皮質の丈夫さ・サイズが大きいなどの利点もあり、パイソン革の主力として、ハンドバッグ・財布・小物・ベルトなどに幅広く使用されています。

余談ではありますが、沖縄の「三線」はこのモラレスパイソンの革が使用されています。

先に上げたダイヤモンドパイソンと同様に割き方はフロントカット・バックカットの2タイプがあります。

そして、模様を活かす・除去する、両方がありますが、比較的にモラレスパイソンは個性的な斑紋を活かすタイプが市場には多く出回っていると思います。

 

 

レッドパイソン:ヒイロニシキヘビ

レッドパイソンは尾部が短く胴が太い体系をしており、ショートテールパイソンとも称されています。全長は1m~2mで、ダイヤモンドパイソンの約半分くらいの長さになります。

生きている時、身体全体が赤味を帯びているところから、緋色(ヒイロ)ニシキヘビと呼ばれています。レッドパイソン=「赤色」だけのパイソンという訳ではなく、さまざまなカラーに染色が可能です。

この種のパイソンも独特な斑紋模様を持ってはいますが、あまり美しいとは言えません。そのため国内では、模様を脱色した仕上げが多くを占めています。

割き方は先に上げたパイソンの種類と同様に、フロントカット・バックカットの2タイプがありますが、レッドパイソンの特徴でもある、腹部中央の大きな蛇腹(じゃばら)を活かしたバックカット(背割り)が主流となっています。

 

 

魅力は模様だけではない! パイソン革の特徴と注目すべき加工方法とは?

パイソン革の特徴と言えば、その個性的なウロコ模様と存在感に目がいきがちですが、他のエキゾチックレザーにはないヘビ革ならではの、多彩な表情と独特のしなやかさという魅力も兼ね備えています。

パイソン革の代表的な仕上げ方法には、光沢感(ツヤ)のあるグレージング仕上げと光沢を抑えソフト感を重視したマット仕上げがあげられます。

どちらの仕上げ方もパイソンの持つ表情や特徴を損なうことはありませんが、ファッションのカジュアル化の流れを受け、ツヤ感を抑えソフト感を重視したマット仕上げが主流になっているのが現状です。

また、最近ではマット仕上げの表面を擦ったり、メタリック・アンティーク・プリントなどの特殊加工を施した仕上げも数多く出回るようになり、注目を集めています。

そして皆さんにお伝えしたいパイソンマット仕上げの特筆すべき点は、ソフトな肌さわりと柔軟性。手に馴染むしっとりとした感触は、他の皮革では味わえないパイソン特有の質感なのです。

このソフトな質感とデザイン性が相まって、ルイヴィトン・グッチ・フェンディなどのヨーロッパトップブランドでもパイソン革が多く採用され、注目を集めています。

同じエキゾチックレザーの中でも人気を二分する、クロコダイルマット革との大きな違いもソフトな革の質感が上げられます。

 

パイソンラッセル(模様有り)「アンティーク」    トートバッグ ブルー

 

このしなやかな柔らかさが、クロコダイルでは表現できない「デザインの幅」を広げてくれるのです。

例えば、直線的でシャープなデザインではなく、丸味を帯びた曲線的でふくらみのあるデザインが上げられます。

また、ギャザーなどの「ひだ」を表現するデザイン性の高い商品も、製作が容易になるのです。

それ以外にも、互いにウロコ(斑)を持つ素材ですが、クロコの腹部は四角形、脇腹は丸型の形状でフラット(平ら)に並んでいます。

パイソンは米粒に似た「だ円」の形状で、クロコにはない、ウロコの先端部の「突起」や「ウロコ同士の重なり」がみられます。

最後に、何と言っても絶対的な違いは軽量であること。そして、自然が作り出したダイヤ・モラレスパイソンの美しい個性的な斑紋模様は、クロコダイルは持ち合わせていません。

一目見たときのインパクトが大きく違ってきます。

パイソンラッセル(模様有り)    トートバッグ ガーベラ

パイソンカモフラ(模様有り)    クラッチ大 ブルー

パイソンマット(模様無し)    2Wayショルダーバッグ ブルー

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もっと知りたい! パイソン革の相談事例と対応について

Rio de piedraエキゾチックレザーアイテムをご購入いただく際や、ご利用中のユーザー様より、日常使いの注意点や相談・質問を承ることが日に日に増えてまいりました。

あくまでも一事例ではありますが、この機会にパイソン革やパイソン製品についてよくお受けする、相談事例と対処法をご紹介いたしましょう。皆様のお役に立てれば嬉しく思います。

Q:パイソン革のウロコの先端が「ペラペラ」しているのは、はがれたり・取れたりしないか心配です。

A:パイソンのウロコの「ペラペラ」は、ヘビ革の「本物としての証」であり、天然皮革と牛革などの型押し革との違いもこのようなところに見られます。

日常生活の中で使用される場合では、ウロコが「はがれる・取れる」ことは考えられません。何かに強く引っ掛けたり、故意に強い力で引っ張らない限りはがれることはありません。

Q:パイソン革はクロコダイル革と比べると薄い革という印象があるのですが、耐久性はどうなんですか?

A:確かにクロコダイルと比べると革の厚みは全体的に薄いと言えるでしょう。
大きさや個体差もありますが、革の厚みだけで言えばリザード(トカゲ)革と同じくらいです。

パイソン革と言っても範囲が広く、革の厚さも取れる部位やサイズにより差が出てきます。
そのため、革をどのようなアイテム・用途に使用するかにより、布・合成皮革・牛革などの皮革をパイソンの裏側に貼り付け、厚さや強度を調整し、耐久性を持たせます。

ちなみに、Rio de piedraのパイソンアイテムは、ソフトな革質を損なわず、そして強度を補強することにこだわりを持っています。

パイソンラッセル(模様有り)    スリムウォレット ブルー

パイソン革に良く馴染みソフトな特徴を活かす「裏貼り用素材」を吟味して使用しています。

 

Q:パイソン革のウロコがめくれたり、起き上がってくることはありますか?また、対処方法はありますか?

A:ほとんどのエキゾチックレザーは製革(革を作る作業)の最終工程で、革を引っ張った状態で乾燥させて平らな状態に整えています。

しかし、パイソン革のウロコが起き上がったり、逆向け状態となり、めくれ上がってくることがあります。


これは、使用しているうちに徐々にウロコが起きてきたり、ウロコとは逆方向に強く押つけられたり、湿度などの変化・作用により起こるといわれています。

軽くめくれている状態であれば、ウロコの流れに沿ってやわらかい布で軽く押つけるようにカラ拭きしたり、普段からパイソン表面を手で(水や雨で濡れていたり、汗ばんでいる状態は避ける)なでながらウロコの流れを整えてあげることで、ウロコのめくれを直し、防ぐことが可能になります。

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Rio de piedra流 パイソン革お手入れのススメ!

世には沢山のエキゾチックレザーのお手入れ・メンテナンスの方法がありますが、パイソンの場合は少々注意が必要になってきます。実は、メンテナンス用のクリームやスプレー・ワックスなどの使用はなるべく控えていただきたいのです。

長年、パイソン革を取り扱っている私たちでも、クリームなどを使用する時は、かなりの神経を使います。パイソン革の表面は薬剤などが浸透しやすい性質があるからです。

特に人気の高いマット仕上げのパイソンは注意が必要です。

クリーム・スプレーなどの成分もさることながら、塗布するメンテナンス剤の量、加減が非常に難しく、一歩間違えるとシミや色ムラ(塗ったところが濃くなる)、色落ちが発生する可能性が高くなるためです。

パイソンの「色」や表面の「コンディション」によっても、メンテナンス剤の「適量」が違ってくるので、一般の方がそれを的確に判断するのは難しいと私は考えます。

パイソン製品を手に入れた時のコンディションを出来るだけ保ちながら、使用していく中で自然な変化(経年変化)を楽しんでいただきたいので、日常のお手入れは、シンプルな方法がベストです。

パイソン表面をやわらかい布で、「ウロコの流れ」に合わせて、軽く円を描くように拭き上げていただくことをおススメいたします。

また、ご使用後に汗ばんでいないご自身の「手」で、ウロコの流れに沿って柔らかく均等に「なでる」ことも、「保革」につながると言われています。

どうしてもパイソンのウロコが、かさつきザラザラするようでしたら、購入店に相談するか、目立たないところで変化がないか十分に試していただいた後に、注意をしながら「保湿用」のメンテナンス剤を少しづつご使用になってください。

パイソンレザーに限らず、エキゾチックレザー製品を『 長持ちさせるコツ 』は、お気に入りの製品であっても、汚れがついたらすぐに取り除き、詰め物などをして形を整えて少し使用を控え、休ませてあげてください。

その間に革が吸収した余分な水分を放出したり、型くずれが修正されリフレッシュします。

財布などは、ヒップポケットに入れて持ち歩くよりも、バッグなどに収納しご使用になることをおすすめします。

パイソンマット(模様無し)    ミニクラッチバッグ ホワイト

パイソンカモフラ(模様有り)    マネークリップ ブルー

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最後に

「美しさ」と「ワイルド感」。多彩な表情を持ったパイソン革の魅力はいかがでしたでしょうか?

先日も、クロコアイテムには馴染のあるユーザー様が初めてパイソンのバッグを手に取られた時の第一声が……

「パイソンってこんなに柔らかいモノなんですね。初めての感触でびっくりしました。」

とおっしゃっていました。

ファッション誌をながめているだけでは分からない「パイソン革の魅力」が少しでも皆様にお届けできたのなら嬉しく思います。

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